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母を連れて先生の花展に行った。台風シーズンを避けて今年は梅雨の晴れ間、湿度も低くてとても清清しい。会場はおなじみ自由学園明日(みょうにち)館。
テーマは“graceful time”ということで、本当に優雅な作品ばかりだった。去年まではただ見る側としてああだこうだ言ってたけど、今は自分も曲がりなりにも稽古に参加しているので、どんなに大変か、どれほど手間がかかっているかが分かり、驚愕する。
先生のと、先生の先生の。先生のはいつもキュートなのですぐ分かるね。先生の先生のは、「カフェオレ」という茶色がかったピンクのなんとも美しいバラが主役で、おとぎ話のお姫様の世界だった。いつもダイナミックでかっこいいのだが、今回はほんとーうにゴージャスながら可憐で、先生の先生の(くどい)引き出しの多さに感服した。先生の先生、いつもヘタで、変ないきもの作ってすみません。精進します。でも来年はムリです。。
今回は自由学園明日館ガイドツアーもやっていたので、母と途中から参加してみた。明日館は婦人之友を主宰していた羽仁もと子と夫が、友の会の子女に教育を受けさせようということで建てた学校で、あのフランク・ロイド・ライト設計の、「大草原の小さな家」とか「天国の日々」に出てくるアメリカの大平原に建つ一軒家のような美しい建物。解説を聞くと、日本の美に傾倒していたライトが、平等院をイメージに重ね合わせていたり、学校の家具にも使われている「タリアセン・レッド」と呼ばれるライト独特の朱色が、鳥居や漆器からインスピレーションを受けていたと知り、聞くとなるほどなのだが気がつかないとそのまま「わあ綺麗ねえ素敵ねえ」で済んでいたことが分かってたいそう嬉しかった。小柄な日本の少女たちのために遠藤新がしつらえた小さな机や椅子の先に、豊川稲荷や平等院が見えて、さらにアメリカの大平原が拡がっているようで、全く明治の人間たちというのは凄い。
日本の多湿な気候や大谷石の脆弱さを知らなかったライトの設計で、換気口から水がしみて屋根がかびたり、エクステリアに大谷石を使用したところがボロボロになったりしていたとか、資金難だったため当初の建築が相当安普請で文化財保存のために修繕したところ、建屋としての強度が超・不足していたりしたこと、さらに、ライトの建築は天井の低さと高さのコントラストが特徴なのだが、それはやはり茶室のにじり口とかに影響を受けている…それは確かにそうなんだけど、実は米国人男性としては小柄だったから、天井が低くても圧迫感をそんなに感じなかったのではないだろうか、などという裏話も明かされ、これからまたライトの建築を見る視座が広がって、トクした気分だった。いい話と裏話と両方聞けてよかった。
ちなみに明日館は普通の文化財と異なり、「使って保存する」動態保存というコンセプトがあるので、この花展はもちろん(贅沢なことにこの明日館でふだんのフラワーアレンジメント教室も開かれている)、その他の教室やレセプション、結婚披露宴なども行われる。そのため、現在の使用にも耐えるような改築が行われた。たとえば左の写真に見る、生徒たちが使っていた棚の下の部分に空調設備用のカバーを新たにつけたりするなど、普通の保存文化財ではありえない改築が施されているとか。でもクリーム色の壁、こげ茶の棚や梁、緑青をふいたような屋根という基本的なトーンは統一されており、質素だが美しい。手間のかかった環境で生活するということがどんなにその子どもの精神を育てるか、感心する。そりゃここで学んだ子どもたちは自立した職業婦人、良妻賢母になろうとしただろう。
帰り母とつばめグリルで昼食をとり帰宅した。そうそう、チャミさんに「それ地毛?」と聞かれて笑ったよ。先生の先生、先生、先輩生徒さんたち、皆さん本当にお疲れ様でした!